ふるさと精油をつなぐ会

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イベントレポート
2019/09/14

ふるさと精油をつなぐ会発足会レポート その2 〜精油生産者の皆様の声〜

2019年4月の発足会には、全国から5組の精油生産者の皆さまがご出席くださいました。会の中で一言ずつご挨拶をいただいたところ、生産現場での取り組みやこだわり、これから目指すビジョンなど、消費者の目線では決して知ることのできない、大変貴重なお話を伺うことができました。
国産精油の生産者と一口に言っても、地域、原料植物、主幹事業や携わる人数・規模によっても、その取り組みは様々であることもわかりました。
当日のお話を記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。

<掲載順>(五十音順)

日本固有の香木・クロモジが、
暮らしの香りになる未来を見つめて。

燕雀堂(えんじゃくどう)

⻘森県産のクロモジを原料に精油の製造販売を手がけている「燕雀堂」。代表の中田さんは元々林業に携わっておられた方です。杉、マツ、ヒバが主で、それらの足元に自生しているクロモジは雑木として、かつては下刈り、除伐の対象に過ぎませんでした。名前も知らないけれど身近な存在で、独特の良い香りを放つこの低木が、古くから伊豆地方で精油の抽出がされていたことを知った中田さんは、クロモジを有用木とする林業の未来を目指しました。
「最初のうちは精油がどういうものかよく知らず、夏の材と冬の材(葉のあるなし)で抽出した2種類の精油を香料の専門家の方に比較してもらうと、夏の材から抽出したものを評価いただきました。そこでクロモジ精油からスプレーを作り、香料に対する先入観が無く、年齢も性別もバラバラな職業訓練学校の人たちに依頼して試してもらったのです。すると8割の人に好感を持たれたことからスプレーの商品化に至りました」と中田さん。その後まもなく、地元・弘前大学によってクロモジ精油の抗炎症作用や白血病予防作用に対する有意性についての研究結果が得られ、クロモジの将来性に光を感じ、一層意欲的に励まれています。クロモジ精油の生産者であり、研究者でもある中田さんは、日本固有の香木・クロモジ精油が身近な植物の香りとして世に広まり、人々の生活に役立てられる未来を見つめて、その普及に努めています。

燕雀堂
青森市久栗坂字山辺 79-2
TEL・FAX 017-763-0113

国産ヒノキチオールを世界中の人に広めたい。
有限会社キセイテック

和歌山県・高野山の麓にある有限会社キセイテックは、青森県内の製材所と提携して、工業原料としての高品質な青森ヒバ精油の生産を大規模に手掛けています。青森ヒバに多く含まれる「ヒノキチオール」は、殺菌・消臭効果に優れ、食品や化粧品の防腐剤としても使用されているもの。その名称ながら意外にも、日本のヒノキにはほとんど含まれていません。地元・高野山の山には、杉、ヒノキ、コウヤマキの豊かな森林があり、キセイテックではこれらの精油抽出も手掛け、ヒバ、ヒノキの独自ブレンドオイルなども製造しています。業務用がメインで小売販売はしていませんが、大手生活雑貨店のアロマ製品にも使用されています。
「利用価値がないとして廃棄されていた製材端材やおがくず、樹皮、間伐材などが原料です。海外にも製造拠点を置き、台湾ヒノキ、カナダのウエスタンレッドシダーも取り扱っていますが、やはり国産精油のヒノキチオールは大変高品質で、日本が誇れるものの一つです。将来的には世界市場への展開も目指しています」と、代表取締役の東さん。精油のマイクロカプセル化など、独自の工夫で魅力ある製品開発を行われています。

有限会社キセイテック
和歌山県橋本市向副 1209
TEL:0736-32-5075

奈良県吉野の森から世界へ!
ひのきの魅力を届けます。

喜多製材所

ひのき専門の製材所として奈良県吉野で1960年に事業を始めた、喜多製材所。国産⽊材の事業性が厳しい中、住宅建材以外での事業展開を模索し、吉野ひのきを原料とした精油の製造販売を2000年から開始しました。
喜多製材所では当初より、減圧温熱循環式という⽅法で、吉野ひのきの⽊部を原料に精油を抽出。年間の抽出量はおよそ1,000ℓです。そして2019年4⽉からは新たに、⽔蒸気蒸留設備も導⼊。吉野ひのきの「おが粉」を原料とする精油抽出も開始しました。抽出方法の違いから、成分比率の異なる2種類の精油を⽣産・販売しているのが特徴です。こうして作られている精油、樹液⽔(芳香蒸留水)、精油石鹸をはじめ、ヒノキ材を加工したさまざまな製品は、オンラインショップで購⼊可能です。
製材の工程で出る「おが粉」は、精油だけでなく、バイオマス燃料や消臭剤、酵素⾵呂などさまざまな⽤途があり、喜多製材所ではおが粉の販売にも⼒を⼊れています。森の恵みを無駄なく余すところなく使い切る、森林ファーストの⼼意気。
喜多製材所の吉野ひのき精油と樹液⽔は、2019年3月、経済産業省のクールジャパン戦略の⼀環である「チャレンジ・ローカル・クールジャパンin パリ事業」の出展商品に選定されています。パリで1年間にわたって商品を展⽰し、⽇本産ひのきの⾹りで彼の地の⼈々を魅了することでしょう。

https://www.kansai.meti.go.jp/3-2sashitsu/CCkansai/france/challenge3/sentei.html
喜多製材所
奈良県吉野郡吉野町橋屋57-15
tel 0746-32-2268

山を育て・守り・使う。循環型の社会をめざして。
伐採時の未利用材から精油を抽出しています。

協和木材株式会社

山林管理から原木直送、製材加工・販売までを一貫して手掛けている、福島県の協和木材株式会社。
主な取扱い樹種は地域材の杉とヒノキです。同社は大量供給と加工のシステムを持ち、1日に山から木を切り出す量は約1,000t、処理する枝葉は1日あたり約200tにも及びます。そんな協和木材株式会社では、かねてから未利用材として廃棄されている枝葉の使い道を探していたところ、国産の香料を求めている会社との縁が繋がりました。「輸入雑貨の販売などを手掛けている会社で、精油を国内で作り商品化できないかという相談でした。私たちは毎日山の木を伐採しては枝葉を落とし、枝葉はそのまま山に放置しています。自社工場には木材の乾燥に使う大きなボイラーがあり、バルブをひねればいつでも自由に蒸気を使えます。精油の抽出にはまたとない恵まれた環境ということで、ぜひやってみましょうということになりました」と、代表の佐川さん。本業とは別に、杉やヒノキの精油抽出・販売を始めましたが、安価な輸入香料との競争には依然として不利な状況だそうです。多くの恵みをもたらしてくれる山林は、守り、育て、使っていかなければ維持できません。森林資源の活用は循環型の社会をつくります。国産精油もこうした森の一部。今ある森林と未来の森林を守るのは、こうした企業の努力とそれを支える消費者の力なのです。

協和木材株式会社
東京都江東区東陽 5-30-13 東京原木会館(本社)
TEL 03-5857-5225
福島県東白川郡塙町大字⻄河内字鶴巻田 10(工場他)

“森を想う暮らし”をテーマに、ライフスタイル提案ブランドを展開。
久恒山林株式会社

生態系豊かな命あふれる森づくりを支えるために。森の恵みを感じるもの、天然自然、有機無農薬、そして大分の農林産物にこだわり、『森を想う暮らし』をコンセプトに、『六月八日』というライフスタイル提案ブランドを展開している、久恒山林株式会社。大分県で三代続く林業を営む会社です。
「森から出る未利用材の活用、次の世代につなぐ山林経営を模索していて、日本の森林の樹木から精油が作れることを知り、蒸留を始めました」と、久恒まゆさん。100年、200年先の 日本の森を守り続けるために、「森が育つペース以上に植物をとりすぎない」という基本姿勢で商品を開発しています。精油は、スギ、ヒノキ、クロモジなどの樹木系、かぼす、夏みかんなどの柑橘系とゼラニウムも。これらの精油、芳香蒸留水、サシェなど様々なアロマグッズがオンラインショップで購入できます。なお、六月八日の精油にはトレーサビリティ検索システムが設けられており、ラベルに印字されたロット No.から、原材の採集地、樹種、樹齢、部位、蒸留日などがホームページ上で確認できます。消費者としてはより安心して使用でき、その精油のもととなった樹木がいつどこで育ったのか、森に思いを馳せ、ロマンを感じることができるでしょう。
「家族と数人のスタッフという小規模体制で、古⺠家の土間の片隅に蒸留設備を置いてやっています」という生産現地は、大正13年築の木造近代和風建築(国指定登録有形文化財)で、その端正な佇まいからも⻑く森を大切にしてきたご家族の思いが感じられます。

久恒山林株式会社(六月八日)
大分県中津市上宮永 4-3-1
tel 0979-22-7944