ふるさと精油をつなぐ会

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コラム
2020/07/28

会員限定コラム 第四回 林真一郎

ふるさと精油の抗不安作用と多様な可能性

 抗不安薬とは不安やそれに関連する身体的あるいは精神的症状に用いられる薬のことで具体的には睡眠薬や抗うつ薬などがあります。抗不安薬として認められるには抗不安作用をもたらすことを証明する必要がありますが、そのスクリーニングのための評価方法に高架式十字迷路試験があります。

 私たちのグループではこの方法を用いて北海道モミ(トドマツ)や高知ユズ、沖縄月桃などのふるさと精油が抗不安作用をもつことを証明しました。精油は医薬品ではありませんが薬理学的な意味で抗不安作用をもつのです。こうした精油の香りを嗅ぐことで気持ちが安らいだりよく眠れるというのは単なる気のせいではありません。

 ところで精油は一般的に「良い香り」なのでどんな精油でも抗不安作用があるように思いますが実際はそうではなく、「良い香り」であっても抗不安作用は認められない精油もたくさんあります。

 さて、精油の中枢薬理作用の研究のパイオニアである国立環境研究所の梅津豊司博士は医療手段としてのアロマセラピーの価値を

①補完代替療法のツール
②医師と患者の良好な関係の構築の補助手段
③患者のQOLを高める手段
④新薬開発の資源(新たな医薬品の探索)
⑤快適で健康的な環境創成の手段

の5つにまとめています。

 ふるさと精油を単に医薬品の代替品として使用するだけではなく生活を豊かにするツールとして役立てていきたいと思います。